~歩ける自分を守る毎日の小さな工夫~
「このまま歩けなくなるんじゃないか…」
「手術しかないと言われて不安」
「でも、家でできることがあるなら試したい」
脊柱管狭窄症と診断された方、または症状が出始めている方にとって、日常生活の工夫やセルフケアは、症状の悪化を防ぎ、歩ける状態を長く保つうえで非常に重要です。
ここでは、整体的な視点も含めた、ご自宅でできる簡単なケアと予防法をご紹介します。
なぜ悪化する?日常に潜む「腰への負担」
脊柱管狭窄症は、神経の通り道が狭くなることで、しびれや痛みが出る状態。
悪化する最大の原因は、「腰を反る動作」が習慣化されてしまっていることです。
以下のような動作・姿勢に要注意です。
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長時間、反り腰のまま立っている
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背もたれにもたれた“のけぞり姿勢”で座っている
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洗い物など、腰を反ったまま前かがみになる家事動作
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上を見上げるような天井掃除や物干し作業
つまり、「腰をそらす」「同じ姿勢を長時間続ける」これらが、狭窄症の悪化に大きく関与しています。
自宅でできる!3つの悪化防止セルフケア
①【椅子に座ったまま】骨盤前後ゆらし運動(1分)
これは、固まりがちな腰まわりと骨盤の動きを改善する簡単な体操です。
やり方:
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椅子に浅く座り、背筋を伸ばす
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骨盤を前に傾ける(腰を反る) → ゆっくり戻す
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骨盤を後ろに傾ける(腰を丸める) → 戻す
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これを10~20回ゆっくりくり返す
✅ ポイント:大きく動かす必要はありません。呼吸を止めず、リズムよく、気持ちよくできる範囲でOKです。
②【布団やベッドで】膝抱えストレッチ(1日2回)
これは、背骨の下部〜骨盤の緊張を和らげ、神経の通り道を広げる効果があります。
やり方:
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仰向けに寝て、両膝を軽く曲げる
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両手で片膝を胸の方へ引き寄せる
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5秒キープ → 戻す(左右交互に3回ずつ)
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余裕があれば、両膝を同時に抱える(3回)
✅ ポイント:腰が反らないように意識して。リラックスした状態で行いましょう。
③【歩く前に】前かがみストレッチ(歩行前の習慣に)
歩く前に軽く背中を丸めておくと、歩行中の腰への負担が減り、間欠性跛行(しびれて止まる現象)の予防につながります。
やり方:
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椅子に座り、両手を太ももの上に置く
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ゆっくりと前かがみになり、腰を軽く丸める
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3~5秒キープ → 戻す(5回)
✅ ポイント:痛みが出ない範囲で。やりすぎず、身体が「少し動きやすくなった」と感じる程度でOKです。
予防には「正しい座り方」「歩き方」も重要です
●座り方のポイント
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骨盤を立てて、浅く座らない
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背もたれに頼りすぎず、背筋を軽く意識
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足を組まない(骨盤がねじれやすくなる)
●歩くときの注意点
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歩幅は小さくてもOK。前のめりにならず、軽く背中を丸めて
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疲れすぎる前に休憩を。痛みが出てから止まるのではなく、「その前」に休むのがコツです
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杖やシルバーカーの使用も前向きに考えてください
こんな方は今すぐセルフケアを
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「最近、歩く距離が減ってきた」と感じている
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日によってしびれや痛みに波がある
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少しの外出でも不安を感じるようになった
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手術はまだ考えていないけど、どうしていいかわからない
脊柱管狭窄症は、放置すると進行しやすい症状です。
でも逆に言えば、早めのセルフケアで「進ませない」「悪化させない」ことも十分可能です。
無理なく、自分のペースでできることから始めていきましょう。
そして、もし「これでいいのかな?」「もっと改善できるのかな?」と思ったら、私たちのような専門家にご相談ください。
「自分の足で歩ける」を守るために
痛みやしびれに対して、手をこまねいているだけでは、体はどんどん硬く、動きにくくなっていきます。
でも、自宅でのちょっとした工夫と継続で、体はまだまだ変えていけます。
「まだ大丈夫」な今のうちに――
ぜひ、自分の身体に合ったケアを始めてみてください。